定性的な開示事項

Ⅲ.定性的な開示事項

  1. 自己資本調達手段の概要

    当金庫の自己資本は、出資金及び利益剰余金等により構成されています。なお、当金庫の自己資本調達手段の概要は次の通りです。

    発行主体但陽信用金庫
    資本調達手段の種類普通出資
    コア資本に係る基礎項目の額に算入された額1,065百万円
    配当率年6.00%
  2. 自己資本の充実度に関する評価方法の概要

     当金庫は、内部留保による資本の積上げ等を行うことにより自己資本を充実させ、自己資本比率は国内基準である4%を大きく上回る15.67%の水準にあり、経営の健全性・安全性を十分維持していると自負しております。
     なお、将来の自己資本の充実策については、年度ごとに掲げる事業計画に基づいた業務活動を通じ、そこから得られる利益による堅実な資本の積上げを第一義的な施策と考えています。

  3. 信用リスク管理

    1. リスク管理の方針及び手続きの概要

      信用リスクとは、取引先等の財務状況の悪化などにより、当金庫の資産の価値が減少ないし消失し、損失を被るリスクのことをいいます。
       当金庫では、信用リスクを当金庫が管理すべき最重要のリスクであるとの認識の下、安全性、公共性、流動性、成長性、収益性の5原則に則った厳正な与信判断を行うべく、与信業務の基本的な理念や手続き等を明示した「クレジットポリシー」を制定し、広く役職員に理解と遵守を促すとともに、信用リスク管理を徹底しています。
       信用リスクの評価は、小口多数取引の推進によるリスクの分散のほか、与信ポートフォリオ管理として、信用格付別や自己査定による債務者区分別、業種別、さらには与信集中によるリスクの抑制のため大口与信先の管理などについて、さまざまな角度から分析を行っています。
       また、当金庫では、信用リスク計測にあたっては、信用リスク計測システム等を活用し、VaRにより計測したリスク量(最大予想損失額)を参考にして、統合的なリスク管理を行っています。
       個別案件の審査・与信管理にあたっては、審査管理部門と融資推進部門を分離して相互牽制が働く体制とし、大口与信に対しては融資審査会を設置して審査体制の強化を図っています。さらに、ALM委員会等を定期的に開催し、信用リスクの管理・運営にかかる重要事項を審議しています。
       以上の相互牽制機能、審査体制の強化、経営陣による審議に加え、リスク管理を行う所管部署が与信運営にかかる妥当性の検証を実施することにより、適切な与信運営を実施する管理態勢を構築するとともに、有価証券運用にかかる市場性信用リスクについても、「資金運用規程」等に基づいて、適切な信用リスク管理を行っています。
       信用コストである貸倒引当金は、「自己査定規程」及び「貸出金等の償却・引当規程」に基づき、自己査定における債務者区分ごとに算定しています。
       正常先、要注意先、要管理先については、債務者区分ごとの債権額にそれぞれの貸倒実績率に基づいた予想損失率を乗じて、一般貸倒引当金を算出しています。
       破綻懸念先については、担保・保証による回収可能見込額を除いた未保全額に対して貸倒実績率に基づいた予想損失率を乗じて個別貸倒引当金を算出しています。ただし、未保全額が当金庫の定める金額以上の債務者については、キャッシュフロー控除法に基づき必要と認める額を別途算出し、これを個別貸倒引当金としています。
       実質破綻先及び破綻先については、担保・保証による回収可能見込額を除いた未保全額全額を個別貸倒引当金として算出しています。
       なお、算出結果等については、監査法人の監査を受けるなど、適正な計上に努めています。

    2. エクスポージャーの種類ごとのリスク・ウェイトの判定に使用する適格格付機関等の名称

       エクスポージャーのリスク・ウェイトの判定に使用する適格格付機関は、R&I、JCR、Moody’s、S&Pの4機関とし、国内エクスポージャーはR&IとJCR、国外 エクスポージャーはMoody’sとS&Pを使用しています。

      適格格付機関 判定区分
      R&I株式会社 格付投資情報センター国内エクスポージャー
      JCR株式会社 日本格付研究所
      Moody’sムーディーズ・ジャパン株式会社国外エクスポージャー
      S&PS&P グローバル・レーティング・ジャパン株式会社

      「適格格付機関」とは
      自己資本比率規制(バーゼル規制)において、金融機関がリスクを算出するに当たって用いることができる格付を付与する格付機関のことです。金融庁長官は、適格性の基準に照らして適格と認められる格付機関を適格格付機関に定めています。

    3. 信用リスク削減手法に関するリスク管理

       「信用リスク削減手法」とは、当金庫が抱えている信用リスクを軽減化するための措置をいい、具体的には、預金担保、有価証券担保、保証などが該当します。
       当金庫では、融資の取上げに際し、資金使途、返済原資、財務内容、事業環境、経営者の資質など、さまざまな角度から判断を行っており、担保や保証による保全措置は、あくまでも補完的な位置付けとして認識しているため、担保または保証に過度に依存しないような融資の取上げ姿勢に徹しています。ただし、与信審査の結果、担保または保証が必要な場合には、お客様への十分な説明とご理解をいただいた上でご契約いただくなど、適切な取扱いに努めています。
       当金庫が扱う担保には、自金庫預金積金、有価証券、不動産等、保証には、人的保証、信用保証協会保証、政府関係機関保証、民間保証等がありますが、その手続きについては、金庫が定める「融資業務取扱規程」及び「担保評価基準」等により、適切な事務取扱い及び適正な評価を行っています。
       また、手形貸付、割引手形、証書貸付、当座貸越、債務保証、外国為替、デリバティブ取引に関して、お客様が期限の利益を失われた場合には、当該与信取引の範囲において、預金相殺を行う場合があります。この際、信用リスク削減方策の一つとして、金庫が定める「融資業務取扱規程」や各種約定書等に基づき、法的に有効である旨確認の上、事前の通知や諸手続を省略して払戻充当いたします。
       なお、バーゼル規制における信用リスク削減手法には、適格金融資産担保として自金庫預金積金、上場株式、保証として適格保証人のリスク・ウェイトを用いることが認められており、これらのエクスポージャーについては、担保及び保証にかかるそれぞれのリスク・ウェイトを適用しています。そのうち、保証に関する信用度の評価については、信用保証協会保証は政府・地方公共団体保証と同様に、また、一般社団法人しんきん保証基金については、適格格付機関(JCR)が付与している〈AA-〉に基づき判定しています。
       また、信用リスク削減手法の適用に伴う信用リスクの集中度は、特に業種やエクスポージャーの種類に偏ることなく分散されています。

    4. 派生商品取引等の取引相手の信用リスクに関するリスク管理

       当金庫では、お客様の金利変動にかかるリスク・ヘッジにお応えするための円金利スワップ取引や、当金庫の有価証券運用の一環としての派生商品取引も行う方針としています。
       派生商品取引には、市場の変動により損失を受ける可能性のある市場リスクや、取引相手方が支払不能になることにより損失を受ける可能性のある信用リスクが内包されています。そのうち、信用リスクへの対応としては、「デリバティブ取引取扱規程」の中で取引相手方を信用力の高い金融機関及び上場会社と定めて信用リスクを回避しており、当該取引に対する個別担保による保全や引当の算定は行っていません。(市場リスクへの対応については後述します。)その他、有価証券関連取引については、有価証券にかかる投資方針の中で定める投資枠内での取引に限定するとともに、万一、取引相手に対して担保の追加提供をする必要が生じたとしても、提供可能な資産を十分保有しており、全く心配ありません。

「派生商品取引(デリバティブ取引)」とは
有価証券や通貨・金といった金融資産(原資産)の取引から派生し、原資産の現物価格によってその価格が決定される商品を指します。
具体例としては、先物、先渡し、スワップ、オプション等があげられます。

4.

市場リスク管理

  1. リスク管理の方針及びリスク特性の概要

     市場リスクとは、金利、為替、株式等の様々な市場のリスク・ファクターの変動により、保有する資産・負債の価値が変動し損失を被るリスク、資産・負債から生み出される収益が変動し損失を被るリスクをいいます。
     当金庫では、年度ごとの事業計画に基づいて余資運用額を決定し、収益計画・市場環境を考慮して運用方針・運用計画を策定しています。その方針・計画に基づいて設定したリスク限度枠、損失限度枠を遵守し、リスクを適切にコントロールしながら余資運用を行い、市場リスク等の状況については、定期的にALM委員会や常務会に報告しています。

  2. 派生商品取引等のリスク管理

     派生商品取引等における市場リスクへの対応は、派生商品取引により受けるリスクと保有する資産・負債が受けるリスクが相殺されるような形で管理しています。なお、長期決済期間取引は該当ありません。

  3. 証券化エクスポージャーに関する事項

    ①証券化エクスポージャーに関するリスク管理
     証券化とは、金融機関が保有するローン債権や企業が保有する不動産など、それらの資産価値を裏付けに証券として組み替え、第三者に売却して流動化することをいいます。
     一般的には証券の裏付けとなる原資産の保有者であるオリジネーターと、証券を購入する側である投資家に大きく分類されますが、当金庫は、投資家として購入しているのみで、オリジネーターとしての証券化取引は行っていません。
     当該有価証券投資にかかるリスクの認識については、市場動向、裏付資産の状況、時価評価及び適格格付機関が付与する格付情報などにより把握するとともに、必要に応じてALM委員会等に諮り、適切なリスク管理に努めています。
     また、証券化商品への投資は、有価証券にかかる投資方針の中で定める投資枠内での取引に限定するとともに、取引にあたっては、当金庫が定める「資金運用規程」に基づき、投資対象を一定の信用力を有するものに限るなど、適正な運用・管理を行っています。
    ②証券化エクスポージャーについて、信用リスク・アセットの額の算出に使用する手法
     当金庫は、「標準的手法」を採用しています。
    ③証券化取引に関する会計方針
     当該取引にかかる会計処理については、当金庫が定める「有価証券会計処理基準」及び日本公認会計士協会の「金融商品会計に関する実務指針」に沿った適正な処理を行っています。
    ④証券化エクスポージャーの種類ごとのリスク・ウェイトの判定に使用する適格格付機関の名称
     リスク・ウェイトの判定に使用する適格格付機関は、R&I、JCR、Moody’s、S&Pの4機関とし、原則として、国内エクスポージャーはR&IとJCR、国外エクスポージャーはMoody’sとS&Pを使用しています。

  4. 出資その他これに類するエクスポージャーまたは株式等エクスポージャーに関するリスク管理

     銀行勘定における出資等または株式エクスポージャーにあたるものは、上場株式、非上場株式、子会社・関連会社株式、政策投資株式、上場優先出資証券、株式関連投資信託が該当します。
     そのうち、上場株式、上場優先出資証券、株式関連投資信託にかかるリスクの認識については、時価評価、及びVaR(最大予想損失額)によるリスク計測によって把握するとともに、リスク限度枠、損失限度枠の遵守状況等をALM委員会及び常務会に諮り投資継続の是非等を協議するなど、適切なリスク管理に努めています。
     また、株式関連商品への投資は、証券化商品と同様、有価証券にかかる投資方針の中で定める投資枠内での取引に限定するとともに、基本的には債券投資のヘッジ資産として位置付けており、ポートフォリオ全体のリスク・バランスに配慮した運用を心掛けています。なお、取引にあたっては「資金運用規程」等に基づいた厳格な運用・管理を行っています。
     非上場株式、子会社株式に関しても、前述の規程等に基づいた厳格な運用・管理を行っており、リスクの状況は財務諸表や運用報告を基にした評価による定期的なモニタリングを実施するとともに、その状況については適宜、経営陣へ報告を行うなど、適切なリスク管理に努めています。
     なお、当該取引にかかる会計処理については、当金庫が定める「有価証券会計処理基準」及び日本公認会計士協会の「金融商品会計に関する実務指針」に沿った適正な処理を行っています。

  5. 金利リスクに関する事項

    リスク管理の方針及び手続きの概要
    (ア)リスク管理及び計測の対象とする金利リスクの考え方及び範囲に関する説明
     金利リスクとは、市場金利の変動により、金融資産・負債の価値が変動し損失を被るリスクや、金融資産・負債から生み出される収益が変動し損失を被るリスクとして定義されますが、当金庫においては、双方ともに定期的な計測・評価を行い、適宜、対応を講じる態勢としています。
     具体的には、開示告示で定められた金利ショックを想定した場合の銀行勘定の金利リスク、BPV及びVaR(最大予想損失額)の計測や、新商品の導入による影響などを統合サブシステムや証券会社システムを活用して定期的に計測を行い、ALM委員会で協議・検討をするとともに、必要に応じて経営陣へ報告を行うなど、資産・負債の最適化に向けたリスク・コントロールに努めています。
     リスク管理及び計測の対象とする金利リスクは、銀行勘定全体の金融資産・負債の経済価値変動、保有有価証券の時価変動並びに銀行勘定全体の資金利益の変動とした上で管理を行っており、金利リスク計測の対象範囲は金融商品に関する会計基準で定義される金融資産・負債のうち、預金、貸出金、預け金、有価証券など、主として金利・期間を有する金利感応資産・負債としています。
    (イ)リスク管理及びリスク削減の方針に関する説明
     リスク限度額やモニタリング手法など金利リスクの管理手法については、半期毎または必要に応じてALM委員会等において協議・検討を行い、統合的リスク管理及び市場リスク管理計画の一部として策定し、常務会で承認を得ています。
     期中においては、リスク管理部署がリスクの状況をモニタリングし、定期的にALM委員会及び常務会に報告し、業務運営の方向性とともに、各種施策及びコントロールについての協議・検討を行っています。
    (ウ)金利リスク計測の頻度
     銀行勘定全体の経済価値変動リスクについては毎月末日を基準日として月次ベースで、有価証券の時価変動リスクについては前営業日を基準日として日次ベースで計測しています。
    (エ)ヘッジ等金利リスクの削減手法に関する説明
     当金庫では、デリバティブ取引に関する権限規程及び取引限度額等を定めた内部規程に基づくヘッジ方針のもと、金利スワップ取引をヘッジ手段として、ヘッジ対象である金融商品に関わる金利の変動リスクに対して適用し、リスクの削減・管理を行うものとしています。

    金利リスク算定手法の概要
     (ア)開示告示に基づく定量的開示の対象となる⊿EVE及び⊿NII並びに銀行がこれらに追加して自ら開示を行う金利リスクに関する事項

    (a)流動性預金に割り当てられた金利改定の平均満期
     2024年3月末基準における流動性預金全体の金利改定の平均満期は4.18年です。
    (b)流動性預金に割り当てられた最長の金利改定満期
     流動性預金全体の金利改定の平均満期を推計するにあたり、最長の金利改定満期を10年としています。
    (c)流動性預金への満期の割り当て方法(コア預金モデル等)及びその前提
     コア預金とは、明確な金利改定間隔がなく、預金者の要求によって随時払い出される預金のうち、引き出されることなく長期間銀行に滞留する預金として定義されます。

 当金庫では、金利リスクの算定にあたり、普通預金などの満期のない流動性預金については、コア預金モデルを使用して人格グループ別等の預金残高推移を統計的に解析し、将来預金残高推移を保守的に計測することで実質的な満期を計測しております。また、推計値については定期的にバックテストを実施するなど、モデルの検証等も併せて行っております。
(d)貸出の期限前償還や定期預金の期限前解約に関する前提
 貸出の期限前償還率、定期預金の期限前解約率については、金融庁が定める保守的な前提を使用しています。
(e)複数の通貨の集計方法及びその前提
 当金庫では、保守的に通貨別に算出した金利リスクの正値のみを単純合算し、通貨間の相関等は考慮していません。
(f)スプレッドに関する前提
 割引金利の相関やスプレッド及びその変動は考慮しておりません。
(g)内部モデルの使用等、⊿EVEと⊿NIIに重大な影響を及ぼすその他の前提
 ⊿EVEは、キャッシュフローを展開した上で計測しており、コア預金モデルのパラメータ値の見直しなどにより重大な影響を受けます。
 一方、⊿NIIは、リスクフリーレートに対する預貸金指標金利の追随率の見直しなどにより重大な影響を受けます。
(h)前事業年度末の開示からの変動に関する説明
 ⊿EVE及び⊿NIIの開示にあたり、その算定方法等については特段の変動はありません。
(i)計測値の解釈や重要性に関するその他の説明
 当金庫の⊿EVEは、監督上の基準値(20%)を超過する状況にありますが、金利リスクを含む統合的なリスク管理上においては、特段問題のない水準であると認識しています。

(イ)

銀行が、自己資本の充実度の評価、ストレステスト、リスク管理、収益管理、経営上の判断その他の目的で、開示告示に基づく定量的開示の対象となる⊿EVE及び⊿NII以外の金利リスクを計測している場合における、当該金利リスクに関する事項
(a)金利ショックに関する説明
 当金庫では、主としてVaR(バリュー・アット・リスク)を用いて金利リスクによる時価変動額を算定しており、VaRの算出にあたっては、過去5年間の金利データから算出した想定最大変化幅を金利ショックとして使用しています。
(b)金利リスク計測の前提及びその意味
 銀行勘定全体のVaR及び有価証券の市場リスク限度管理に用いるVaRについては、金利変動が正規分布に従うと仮定する分散共分散法を採用し、観測期間を5年間、信頼区間を99%、保有期間を6ヵ月として算出しています。

「IRRBB」とは
「Interest Rate Risk in the Banking Book(銀行勘定金利リスク)」の略で、一定の金利水準変動により、金融機関の資本・損益に対して生じるリスクをいい、バーゼル規制では、金利リスクの計測・管理等を金融機関が行い、監督当局が当該取組み内容を検証・監督する枠組みをいいます。
「⊿(デルタ)EVE」とは
「Economic Value of Equity」の略で、IRRBBのうち、金利ショックに対する経済的価値の減少額として計測されるものであって、開示告示に定められた金利ショック(上方パラレルシフト、下方パラレルシフト、スティープ化、フラット化、短期金利上昇、短期金利低下)により計算されるものをいいます。(経済価値ベースの金利リスク指標)
「⊿(デルタ)NII」とは
「Net Interest Income」の略で、IRRBBのうち、金利ショックに対する算出基準日から12ヵ月を経過する日までの間の金利収益の減少額として計測されるものであって、開示告示に定められた金利ショック(上方パラレルシフト、下方パラレルシフト)により計算されるものをいいます。(収益ベースの金利リスク指標)
「VaR」とは
「Value at Risk(バリュー・アット・リスク)」の略で、過去の一定期間(観測期間)の変動データに基づき、将来のある一定期間(保有期間)のうちに、ある一定の確率(信頼区間)の範囲内で被る可能性のある最大損失額を統計的手法により推計した値をいいます。
「BPV」とは
「Basis Point Value(ベーシス・ポイント・バリュー)」の略で、全ての期間の金利が1ベーシス・ポイント(0.01%)変化した場合における現在価値の変化額を表し、金利リスク指標のひとつです。

  1. 流動性リスク管理

     流動性リスクとは、予期せぬ資金の流出等により、資金の確保に通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされたり、市場の混乱等により市場において取引ができなかったり、通常より著しく不利な価格での取引を余儀なくされることにより損失を被るリスクです。
     当金庫では、日々の資金繰りや緊急時の資金需要に対応するために、資金繰りの状況の逼迫度に応じて、平常時、懸念時及び危機時の3段階に区分し、それぞれの区分に応じた管理方法及び対応方法を定めており、流動性の確保に配慮した資金運用に努めています。
  2. オペレーショナル・リスク管理

    1. リスク管理の方針及び手続きの概要
       オペレーショナル・リスクとは、金融機関の業務の過程、役職員の活動もしくはシステムが不適切であること、または外生的な事象により損失を被るリスク(自己資本比率の算定に含まれる分)及び金融機関自らがオペレーショナル・リスクと定義したリスク(自己資本比率の算定に含まれない分)をいいます。
       当金庫では、具体的に、事務リスク、システムリスク以外に法務リスク、評判リスク、人的リスク、有形資産リスクをオペレーショナル・リスクとして定義し、それらのリスク管理の重要性を認識するとともに、関係部署と連携を図りながら管理態勢の整備・強化に努めています。
       また、オペレーショナル・リスクは、業務運営上、可能な限り回避すべきリスクであり、当金庫では「リスク管理の基本方針」を踏まえ、組織体制、管理の仕組みを整備するとともに、定期的に収集したデータの分析・評価を行い、リスク顕現化の未然防止及び発生時における影響度の極小化に努めています。
    2. 事務リスク管理
       事務リスクとは、事務上のミスや不正によって損失を被るリスクをいいます。
       当金庫では、ミスや不正を防止するために、「事務取扱規程」を基本規程として関連の各種規程等を遵守した厳正な事務処理に努め、内部監査による定期的な検証を行うなど、相互牽制態勢の整備・強化に取り組むとともに、事務指導や研修等を通じ、本部と営業店が一体となって事務レベルの向上に努めています。
    3. システムリスク管理
       システムリスクとは、コンピュータ等の情報システム機器の障害や誤作動、システムの不具合、不正利用等により損失を被るリスクをいいます。
       当金庫では、基幹システムに、「信金共同オンラインシステム」を採用しています。同システムは、機器や設備等に十分な安全対策を講じています。
       さらに、オンラインや個別業務システム等の使用に関して、厳格なルールの適用や内部監査等によってトラブルや不正の防止に努めるとともに、「システムリスク管理規程」に基づき、管理すべきリスクの所在、種類等を明確にし、定期的な点検検査を実施し、安定した業務遂行ができるよう、多様化かつ複雑化するリスクに対して、管理態勢の強化に努めています。
    4. その他のリスク管理
       その他のリスクについては、顧客保護等管理方針を定め、①顧客に対する適切かつ十分な説明、②相談・苦情等の適切な処置、③顧客情報の適切な管理、④外部委託業務の的確性及び顧客情報・対応の適切性の確保、⑤利益相反取引の適切な管理等について、各種会議・研修等を通じて、役職員に繰り返し周知するなど、顧客保護の観点を重要視した管理態勢の整備・強化に努めています。
    5. オペレーショナル・リスク相当額の算出に使用する手法の名称
       当金庫は、オペレーショナル・リスク相当額の算出にあたり「基礎的手法」を採用しています。
       また、計測したリスクについては、ALM委員会等の各種委員会において協議・検討し、必要に応じて常務会、理事会に諮るなど経営陣に報告する態勢を整備しています。

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