フラゴナールは18世紀のフランスにおけるロココ美術の最後を飾る画家として知られています。 その初期にシャルダンやブーシェの指導を受け、1752年にはローマ賞を受賞し5年間をイタリアで過ごしました。帰国して数年の後サロンで成功をおさめ、アカデミー会員となりますが、間もなく堅苦しいサロンから離れ、乞われるままに現世的な官能的世界や肖像画を描くようになります。才能に恵まれただけでなく、生来の自由でウィットに富み縛られることを嫌ったというフラゴナールは、友人たちから親しみをもって“愛すべきフラゴ”と呼ばれていたといいます。 小品ながら今もなお小さな宝石のような輝きを保ち続ける本作も、この画家を伺い知るに充分な魅力を湛えた慈しむべき作品といえるでしょう。フラゴナールらしいスピード感溢れる筆致も印象的です。
2019年5月のギャラリー
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